第91回アカデミー賞4冠 ボヘミアン・ラプソディ
2019年2月24日、第91回アカデミー賞の授賞式がハリウッドで行われました。最大の注目を集めていたのは、日本でも大ヒットを記録した「ボヘミアン・ラプソディ」だったのではないでしょうか。ボヘミアン・ラプソディは5部門にノミネートされ、そのうち音響編集賞、録音賞、編集賞、主演男優賞を獲得しました。
世界興行収入は6億8500万ドルを超え、日本でも1億1400万ドルを記録。国内では映画の歴代興行収入ランキングで16位にランクインし、異例のロングランが続いています。
ボヘミアン・ラプソディがこれほどまでの大ヒットとなった理由はいったい何なのでしょうか。
ボヘミアン・ラプソディのあらすじ
ボヘミアン・ラプソディは、イギリスの伝説的ロックバンド・クイーンのボーカルを務めたフレディ・マーキュリーの半生を中心としたクイーンの伝記映画です。
1970年代初頭、ペルシャ移民の子である青年・フレディは、ファンだったバンド「スマイル」のメンバーだったブライアン・メイとロジャー・テイラーに声をかけて実力が認められ、同じく新メンバーのジョン・ディーコンとともに4人で新しいバンドを結成します。自主制作したアルバムをきっかけに彼ら・クイーンは人気が高まり、会社の重役の反対を押し切って制作したオペラとロックを融合させたアルバムを制作。その中の一曲が映画のタイトルにもなっている「ボヘミアン・ラプソディ」でした。この曲をフレディが自ら出演したラジオで放送し、これをきっかけにクイーンはスターダムを駆け上がっていきます。
人気が高まっていく陰でメンバー同士の確執、フレディのセクシュアリティをめぐる問題が噴出し、フレディのソロ活動契約をきっかけに決定的な仲違いをしてしまいます。
その後、体調不良やかつての恋人・メアリーとの再会を通じてフレディは自分の本当の居場所がクイーンであることに気づき、バンドへの復帰を決意します。メンバーは当初難色を示しましたが、フレディの熱意が伝わりクイーンは再び4人で活動していくことになります。
全てがうまくいったと思ったその時、フレディのエイズが発覚。死を覚悟しながらも、フレディはステージを成功させました。
映画では実際のライブ映像とともに、フレディの死が語られて幕を閉じます。
ボヘミアン・ラプソディがヒットした理由
ボヘミアン・ラプソディのヒットの理由は、シンプルでわかりやすいストーリーではないでしょうか。
クイーンが結成され、スターとなり、一度決裂して復活する――この流れは基本的な起承転結の形になっています。誰が見てもわかりやすく、混乱をまねきにくい構成だと言えるでしょう。そのほかにも、クイーンについての深い知識がなくても楽しめる工夫もわかりやすさを助けています。クイーンというバンドの歴史を知っていた方がより楽しめることは確実ですが、全く知らなくても十分に楽しめるようになっています。間口を広げたことによって、多くの人に受け入れられやすい作品に仕上がっているのです。
また、扱っているテーマの話題性も注目された要因の一つでしょう。
フレディはペルシャ系の移民で、幼少期はインドで過ごしていました。映画の中ではフレディを取り巻く差別も描写されています。加えて、よく知られているようにフレディは同性愛者でもありました。同性愛者に対する差別の問題も、近年注目されている問題です。これらの今にも繋がる問題を織り込むことで、現実世界と結びついた作品になっています。
コメントはまだありません